20-21世紀の遺産歩み続けるむキーシン！


　エフゲニー・キーシンEvgeny Kissin^ロシア（1971-　）は、ピアニスト、作曲家。ロシアのソ連時代にモスクワのユダヤ系の家系に生まれた。２歳でピアノを学び、６歳の時にグネーシン音楽学校（現グネーシン音楽大学）に入学、アンナ・パヴロヴナ=カントールに師事する。10歳でモーツァルト「ピアノ級奏曲第20番K.466」でデビュー、11歳で初リサイタル、12歳の時の、ショパン「ピアノ協奏曲第１番」（キタエンコ指揮、モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団）が発売され、世界に知られた。以来、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やロンドン交響楽団などと共演し、1986年には初来日した。この頃、ＴＶなどでシベリア西部出身のヴァイオリニスト、レーピン（1971-　）の少年の二人の姿を見たのを憶えている。

　本格的にキーシン、ファンになったのは、ＬＤ（レーザーディスク）で視聴したときだった。「シルヴェスター／コンサート'91 ベートーヴェン・イン・ベルリン」の「合唱幻想曲ハ短調Op.80」（アバド指揮、ベルリンフィルハーモニーと19歳のキーシン！）に新鮮な魅力を感じたのが始まりだった（ＣＤ：UCCG-90843で聴くことが可能）。
　キーシンは少年時代にピアノ小品を作曲していた。2000年代から作曲活動を再開し、初めて出版もしている。「４つのピアノ小品Op.１」より『ドデカフォニック・タンゴ』（筆者訳=12音技法によるタンゴ）」をよく演奏会でも取り上げている。

　2002年英国籍を、2013年にイスラエル国籍も取得した。最近の話であるがウクライナ軍を支援するイヴェントに参加したことから、2024年７月19日ロシア司法省によりキーシンはスパイとして<外国のエージェント>に指定された。キーシンをますますリスペクトスする筆者であるが、たいへん心配している。身の安全を祈るばかりである。
　今回のディスクを視聴して興味深く味わったのが、ベルクBerg^{オーストリア}（1885-1935）の「ピアノ・ソナタOp.1」と自作「ドデカフォニック・タンゴ」である。キーシンの理知と感性を楽しんだ。

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