パーセルのセミオペラ！


　バロック時代の中期に生き、活躍したパーセルPurcell^イギリス（1659-95）はすぐれた英国の作曲家。王政復古（1660年）までのイギリスは、ヨーロッパで発展していたバロックのモノディ様式や協奏曲様式とは無縁だったが、パーセルはフランスやイタリアの様式や書法を吸収していった。まさしくパーセルはそうした中、彼が王室礼拝堂少年聖歌隊長ハンフリーやウェストミンスター･アビーのオルガニスト、ブローなどの先輩によって影響を受けて、ヨーロッパ大陸の新しいバロック様式に近づくことができた。一方、彼は若い時期に吸収した自国、つまりイギリスの伝統音楽の様式や書法も混じり合っている。これによってパーセルは、ヨーロッパのどの作曲家にもないパーセル固有の音楽様式、卓越性した国際的な様式を取得し、そこから醸し出される典雅さは追随を許さないものである。

　パーセルに唯一のオペラoperaとオペラに準じたセミオペラsemi-operaが５つある。唯一のオペラはオペラ「ディドとアイネイアス（アエネアス）」である。ご紹介する「アーサー王」はセミオペラで、詩人ジョン・ドライデンとパーセルの共同制作であった。ドライデンのアーサー王の英雄譚を書き、パーセルは管弦楽曲、独唱、合唱、舞踏音楽を作曲し、1691年に初演されました。このＤＶＤでは指揮のヤーコプスが脚色し、第一次大戦の戦役で父を失った８歳のアーサー王を登場させ、彼の誕生日に祖父が読み聞かせる昔のイングランドとサクソンの戦いの物語をオーバー・ラップさせるという大胆な展開としています。このＤＶＤは歌唱部分は原曲通り英語で歌われ、台詞部分は俳優によるドイツ語としている。

　あらすじはアーサー王とブリテン人がオスワルドのサクソン人と戦い、英国United Kingdomが生まれる話で、台本も音楽もすばらしく、大いに楽しめる。第５幕のヴィーナス（ソプラノ）が歌う“Fairest isle最も美しい島よ”が最も知られた歌曲であろう。

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パーセル　／バロックの概念、バロックの音楽像　バロック年表
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