声の分類と音域
声の分類は、19世紀前半頃まで明確なことではなかった。19世紀半ばのヴェルディやヴァーグナーの時代以降に固まってきた概念である。イタリア式分類を示すと以下の通りである。あくまでも基本的な目安であって、声楽家によって差があるので柔軟に捉えることが必要である。
音域は<1点ハ音から3点ハ音>に至る2オクターヴである。
[ソプラノ・レッジェーロ sopurano leggero=コロラトゥーラ・ソプラノ coloratura soprano]:
軽く、華やかで最も高い声。3点ハ音は当然で、3点ホ音かヘ音までいくこともある。
[ソプラノ・リリコ soprano lirico]:
超高音域は適さないが、落ちついた表情豊かで抒情的な一般的なソプラノで、3点ハ音前後まで出す。
[ソプラノ・リリコ・スピント soprano lirico spinto]:
ソプラノ・リリコより強靭な声で、
ヴェルディの後期から
プッチーニや
ヴェリスモ・オペラに合うソプラノ。
[ソプラノ・ドラマティコ soprano dramatico]:
3点ハ音までだが、強く輝かしい高音と中・低音域の深く豊かな響きの声。
音域は<ヘ音から2点ロ音>までの2オクターヴと少しである。
[メゾ・ソプラノ・リリコ mezzo soprano lirico]:
落ちついた表情豊かで抒情的なメゾ・ソプラノ
。
[メゾ・ソプラノ・ドラマティコ mezzo soprano dramatico]:
強く輝かしく劇的なメゾ・ソプラノ。
音域は<ヘ音から2点ニ(ホから2点ト)> 女声の最も低い音域の声である。
コントラルトcontraltoということもあるが、アルトと同義である。
音域は<ハ音から2点ハ音>による2オクターヴ。楽譜の表記はト音記号を用いたソプラノと同じことが多い。その場合、実音より1オクターヴ上で表記されていることになる。
イタリア語ではテノーレtenoreと発音、日本語で言い表されるテノールは、テノールtenorラテン語・スペイン語
等から来ているようである。おなじみのテナーtenor英語もよく使われている。
[テノーレ・レッジェーロ tenore leggero]:
軽くしなやかな声。
[テノーレ・リリコ tenore lirico]:
装飾的な歌唱に向いている。
音域は<へ音から1点ト音>までの約2オクターヴである。
[バリトーノ・ブッフォ baritono buffo]:
軽妙な声で、オペラ・ブッファの早口唱法に向いている。
[バリトーノ・カンタンテ(リリコ) baritono cantante(lirico)]:
美しい旋律を歌うのに適している。
[バリトーノ・ドラマティコ baritono dramatico]:
重々しい響きの声で、劇的な役割をこなす。
音域は<ほ音から1点ホ音>までの約2オクターヴである。
[バッソ・ブッフォ basso buffo]:
軽妙なバス。
[バッソ・カンタンテ(リリコ) basso cantante(lirico)]:
抒情的なバス。
[バッソ・ドラマティコ basso dramatico]:
重々しく表現豊かなバス。
1998-2026